Melcher Street(メルチャーストリート)Trillium Brewing

収穫祭

―ホップからはじまる、ささやかなビールの旅―

目次

はじまりは、ふとしたひらめきから

「もっと自分好みのおいしいビールが飲みたいな」そんな思いがふくらんで、ふと頭に浮かんだのが——「じゃあ、自分で作ればいいんじゃない?」

…って、思うのは簡単だけどね。実際に作るって、
かなりハードル高い!

とはいえ、行動力にはやや難ありな自分。
「それなら、まずは“育てる”ところから始めてみよう」と思いついたのが、ビールに欠かせないホップの栽培でした。飲むだけじゃなく、違った角度からビールを楽しんでみようという、ちょっとした挑戦です。

選んだのは、アロマホップとしても人気の「カスケード」。さっそく苗を注文し、小さな冒険が始まりました。

ホップのある日々

4月1日。届いたホップの苗は3株。
2株は庭に地植え、もう1株はプランターに。
ヒョロリとした苗を前に、ちゃんと育つのかちょっと不安……

ひょろっ…って、ほんと頼りない姿なんだよ。でも、かわいい。

ところがどっこい、12日には地植えの苗から発芽を確認!
16日にはプランターの苗も芽を出し、嬉しさがこみ上げます。

そこからのホップは成長が早い!
5月には葉も大きくなり、つるらしい姿に。
6月には庭の階段をつたってぐんぐん上へとのびていきました。

見てるとね、ちょっと感動するくらい生命力あるの。
植物ってすごい…

一方で、プランターの苗はなんだか元気がない。日光が足りなかったのか、成長はスローペース。

そして7月、厳しい暑さに地植え苗の勢いもややダウン。ところが8月になると、プランター苗が突然の追い上げ!つるが太くなり、花のような“毛花”がぽつぽつと咲きはじめました。

ホップって、花が咲くんだね。
ちょっと感動。

どうやら地植えは雄株、プランターは雌株だったようです。
9月に入ると、毛花が一気にふくらみ球花(きゅうか)に。鈴なりの球花が実って、
9月16日には発芽からちょうど5ヶ月。
ついに収穫の時を迎えました。

小さな収穫祭のはじまり

いよいよホップの収穫!……のはずが、これまでの暑さや雨を乗り越えて実った球花を前に、ハサミを入れるのが、なんだか惜しくなってしまいます。

わかる?この気持ち。もう、
手が震えそうなくらい愛おしい…

それでも気持ちを整えて、ひとつひとつ丁寧に収穫。思った以上にたくさんのホップが集まりました!
収穫したホップでビールを作ることはできなかったけれど、せっかくなので「収穫祭」として、さまざまな形でビールを楽しむことにしました。

ホップの天ぷら

採れたてホップをサッと天ぷらに。ホップだけのものと、ポテト入りの2種類を用意。

え?ホップって食べられるの?
……食べられます!
しかもウマい!

香りはやさしい草のようで、グラッシーなニュアンス。サクッとした口当たりに、後からじんわり苦味が。
ビールとの相性は抜群。ポテト入りの方が万人受けしそうです。

合わせたのは「なまちゃんブルーイング」のELECTORI`c HAZY
爽やかで軽やか、ちょっとトロピカルな口当たりがクセになります。

追いホップ

グラスに注いだビールに、採れたてのホップをそのままイン!
香りがどう変化するのか、ちょっとした実験気分です。

今回使ったのはサッポロビールの月灯りアンバーラガー
国産ホップを使ったこだわりの一本に、自家製ホップを30個ほど投入。
香りの変化は正直、微妙……でも甘みが増したような柔らかさがありました。

微妙って言っちゃったけど、
これはこれでアリ。
ロマンが大事!

ホップみそ

刻んだホップを味噌・砂糖・みりんで煮詰めた“ホップみそ”。
これが今回いちばんのヒット!ほろ苦さがクセになる、蕗味噌のような風味。

白米にはもちろん、日本酒やビールとも相性抜群。冷蔵庫で作り置きできて、いまもご飯のお供に大活躍中です。

これは正直…天ぷらより好き。
いやほんと、おかわりしたい。

ホップと過ごす季節の中で

育てて、見守って、味わって。
この5ヶ月間、ホップと向き合ったことで、
ビールを「飲む」以外の角度から愉しむ新しい世界を知ることができました。

グリーンカーテンとしても最高。
香りもいいし、
ちょっと癒やし系。

小さな球花がつややかに揺れる姿を眺めながら、日々ビールを醸すブルワリーの方々への感謝がこみ上げてきます。

この小さな収穫祭が、“ビールとともに過ごす豊かな時間”のはじまりになった気がしています。

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