セレンは今のお家に来てからまだ自分で外にでたことがありませんでした。
10歳の誕生日を迎えたある日……
あら、いつも窓から外をみてる娘じゃないか。わざわざ危険な外にでてきてどうしたんだい?
こんにちは、今日はちょっと勇気を出して初めてお家の外にでてみたんだ!
よく頑張ったね。外の世界は広くて初めて見るものばかりだから楽しいだろう? だけど危険も多いんだ、はやくお家にかえりなさい。
ここは危ないの? ちょっと怖いけど……今はすごく楽しいから、もう少し外の世界を見てみたいな!お家の人が心配してると思うけど……
そうかい、用心しなよ。私みたいな優しい猫ばかりじゃないからね……
ところで、よく見ると可愛いカギしっぽしてるじゃないか。
このしっぽ? カギしっぽっていうの? このしっぽの事はあまり好きじゃない……不便だし、未だにうまく動かせないの。
そうだ、せっかく外の世界にきたんだ、ちょっと一緒についておいで!近くの空き地にもの知りなおばちゃんがいるんだ、前にカギしっぽの話をしてたから、そのしっぽを一度見てもらいな。
こうしてセレンは近くの空き地で鍵しっぽを見てもらう事になりました。
そんなに遠くまで行かないところに、この辺りではめずらしく雑草の生い茂った小さな空き地があり、雑草の中をのぞいて見ると気持ち良くお昼寝中の猫がいました。
おばちゃん久しぶりだね!元気かい? 前にカギしっぽの話をしてたじゃないか、ちょっとこの娘のしっぽをみてくれない?
なんだい、久しぶりに会ったかと思ったら頼みごとかい。それにカギしっぽの話は聞いた話だから、しっぽを見たって何もわからないよ……
いや、いいんだよ。その話をこの娘に聞かせておくれよ。
こんにちは、しっぽのお話を聞かせてください、お願いします!
こうしてセレンは偶然にも、ちょっと前までは全く興味がなかったカギしっぽの話を聞かせてもらえる事になりました。(②に続く)