芸術の秋に、セレンのひと言から
休日の朝、のんびり旅番組を観ていたら――ソファで丸くなっていたセレンが、
突然テレビの前でピンと身構えました。

どうしたの、セレン?



今テレビにモンスターがいたよ!
食べられちゃう!



モンスター?
そんなのいたかな……
テレビの画面を巻き戻し、
スマホで検索してみると――



セレン、これのことかな?





そう、それ!
なんでみんな逃げないの?



うーん……たしかにモンスターに
見えるけどね。



実はそれ、
現代アートの作品なんだよ



……アートなの?
びっくりした……



もし興味があるなら、
見に行ってみる?



襲ってこないなら……
ちょっとだけ見てみたいかも
向かうは、新潟・十日町!
調べてみると、そのアートが展示されているのは新潟・十日町周辺。ちょうど「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」が開催中でした。
紅葉には少し早いけど、芸術の秋を楽しむにはぴったりの季節。さらに十日町は自然の景観も魅力的な場所。セレンも気にいるはず!
交通手段は、新潟に住む友人に相談。ありがたいことに、現地を車で案内してくれることに。混雑を避けて10月半ば、平日に一日休みを取って出かけることにしました。
あいにくの空模様……だけど
出発当日。東京はあいにくの雨。



また雨か……
セレンってもしかして
雨猫ちゃん?



ふん、失礼しちゃう……
朝7時に高速バスで東京を出発。9時半ごろには越後湯沢に到着予定です。現地で知人と合流し、車で十日町を案内してもらうことになっていました。
「新潟に着くころには晴れてるといいな……」トンネルを越えて越後湯沢に入っても、残念ながら雨模様は変わらず。少し不安な気持ちのまま、越後湯沢に到着しました。
自然とアートのトンネルへ
Tunnel of Light(清津峡渓谷トンネル)
10時過ぎ、知人と無事に合流。
セレンが楽しみにしている“モンスター”は午後にとっておいて、まずは前から気になっていたスポットへ。
向かったのは、清津峡渓谷トンネル。自然とアートが融合したこの空間は、SNSでも人気の大注目スポット。繁忙期は予約必須ですが、今回は平日で紅葉前だったこともあり、スムーズに訪れることができました。
駐車場からトンネルの入口までの道のりでも、渓谷の景色を堪能。トンネル自体は全長750m、往復で約40分の散策です。











セレン、トンネルは平気?



大丈夫!アートは
よくわからないけど……



トンネルって幻想的で
なんだか感動しちゃう!
3つの見晴所と、幻想の終着点
トンネルの中には、3つの“見晴所”が点在。最初の見晴所では、柱状節理と呼ばれるごつごつした岩肌が間近に。





これもアートなの?



これは自然の造形。
冷えて固まった岩が、
自然にこうなるんだって



すごいね……自然って、
ちょっとアーティストみたい
2つ目の見晴所は、メタリックなトイレ!見た目が独特すぎて、最初はトイレとは思わなかったくらい。3つ目は、鏡がちりばめられた不思議な空間。光と反射が重なって、まるで万華鏡の中に入り込んだような幻想感。




そして、いよいよ終点の「パノラマステーション」へ。
そこには、渓谷の風景を反転して映し出す「水盤鏡」が広がっていました。水面に浮かぶようなアート空間と、目の前に広がる大自然の景観――まさに一体となった絶景です。




晴れ間と、余韻と、次への期待
トンネルの終点で立ち止まり、しばらく言葉もなく景色を眺めていました。空間全体が静かに呼吸しているようで、目の前の風景が、心にじんわりと沁み込んできます。



感動的だね!



そうだね!
あっ……
(ここで?)



せっかくだから
奥まで行っておいで♬



じゃあ、行ってきまーす!


時刻は11:30。人気スポットだけあって、徐々に人も増えてきました。幻想的なトンネルは、帰り道もまた別の美しさを見せてくれます。
外へ出ると、さっきまでの雨が嘘のよう。空はすっかり晴れ渡り、光が緑を優しく照らしていました。
セレンが最初に興味を持った“あのアート”は、これから。でもまずは、この自然とアートの余韻を、もう少しだけ味わっていたい気持ちです。(②最終話に続く)


セレンのあしあと
あいにくの雨模様……
AM10:00頃 十日町観光のスタート
AM11:30頃 清津峡渓谷トンネルを出発