
不思議な朝のはじまり
週末の朝。
ふと目を覚ますと、まだ少しひんやりした空気。時計はAM6:00。
もうひと眠りしようかと思った、そのとき。
O H A Y O !
……ん?
おはよう?あっ、しまった
……返事しちゃった。
小さな違和感が、部屋の空気を少しだけ揺らす。リビングをのぞくと、いつものようにこちらを見ているセレン。白い毛並みと、虹色にゆれるカギしっぽ。気のせいか、ちょっとだけ得意げな顔をしている。
セレンのひと言で、旅が動き出す
ねぇ、海に行きたいな
ぽつりと落ちたそのひと言で、さっきまで静かだった朝が、すこしだけ動き出す。海かぁ。そういえば、まだ一緒に見に行ったことなかったね。
連れてってよ
……はい、来ました。この流れ、もう止められないやつです。行き先は未定。予定もなし。でも、なんとなく――悪くない気がした。「さて、どこへ行こうか」
目的地は、伊豆高原へ
気づけば、準備はあっという間に整っていた。海があって、自然があって、少しだけ日常から離れられる場所。そんな条件に、すっと浮かんできたのが伊豆方面。その中でも、今回は伊豆高原へ。名前だけは知っていたけど、ちゃんと訪れるのは初めて。海と山、そのどちらも感じられる場所らしい。
早く行こうよ〜
はいはい、と笑いながら、家を出る。こんな風に決まる旅も、たまにはいい。
電車に揺られて、旅気分
電車に乗り込むと、さっきまでのバタバタが嘘みたいに落ち着く。窓の外には、少しずつ変わっていく景色。トンネルを抜けるたび、光の色がやわらかく変わっていく。やがて、視界の端にちらりと海が見えた。
……あ、海
思わず声に出たその一言に、セレンがぴくっと耳を動かす。しばらくして、電車は海沿いを走りはじめる。窓いっぱいに広がる青。きらきらと反射する光。遠くに浮かぶ小さな船。なんとなく眺めていたはずなのに、気づけば見入っていた。―流れていく景色の中で、なにかが、ゆっくりとほどけていく。早起きしたことも、少しだけ得した気分。


新鮮な海の幸と、旅のひと息
伊豆高原駅に着いた頃には、ちょうどお昼どき。さて、何を食べようか―と考える間もなく、現実はなかなか厳しい。
どこも満席。週末の観光地、甘く見てました。少し歩いて、ようやく見つけたお店に滑り込む。ほっとひと息。
並んだのは、新鮮な地魚のお寿司。一口食べると、ふわっと広がる海の気配。そして―ようやくの一杯。


やっぱり、これだよね!
思わずこぼれた言葉に、セレンも満足そうにしっぽを揺らす。
静かな道を、ふたりで
チェックインまで、まだ少し時間がある。「ちょっと歩いてみよっか」そう声をかけると、セレンは待ってましたとばかりに立ち上がる。駅から少し離れると、空気が変わる。車の音が遠のき、代わりに聞こえてくるのは鳥の声。緑に囲まれた道を、ゆっくり歩く。
……いいね、ここ
静かな夜に、旅がほどけていく
夜は無理に動かず、宿でゆっくり過ごすことにした。外の音が少ないぶん、部屋の中の静けさが、じんわりと広がっていく。布団に入ると、体の力がすっと抜けた。今日は、よく動いたな。……でも、なんだろう。
疲れというより、どこか軽くなったような感覚。となりを見ると、セレンはもうすっかり眠そう。「明日も、楽しみだね」小さくつぶやいて、目を閉じる。
(②へ続く)
明日のスケジュールは
どうしようかな……
セレンのあしあと
AM10:30頃 東京駅を出発
新幹線で熱海へ。(約50分)
AM12:25頃 熱海を出発
JR伊東線、伊豆急行(伊東駅から、乗換不要)で伊豆高原へ。(約50分)
ランチは回転寿。地魚のネタが豊富で大満足!
静けさ漂う自然を愉しみながら早めに就寝










