
朝、森の息づかいの中で
AM7:00。
目を覚ますと、窓の外はやわらかな光。ひんやりとした空気に包まれて、深く息を吸うだけで、体の奥が静かに整っていく。自然の中で迎える朝は、やっぱり少し特別だ。朝食を済ませて、ふらっとロビーへ。
並んだパンフレットの中に、ひとつだけ目を引く名前があった。―城ヶ崎ピクニカルコース。海沿いを歩く道。ところどころに、景色の開ける場所があるらしい。少し距離はある。でも、不思議と迷いはなかった。
いい空気だね!
なんだか、外に行きたくなるよ
緑のトンネルを抜けて
スタートは“いがいが根”。宿から少し歩いて、体がゆっくり目覚めていく。そのまま、林の中へ。木々に囲まれた道は、思っていたより静かだった。足音だけが、やわらかく響く。少し進むと、光が落ちて、空気が変わる。薄暗い小道。でも、不思議と嫌な感じはしない。むしろ―どこかに導かれているような、そんな気配。やがて、ふっと風が抜けた。その瞬間、視界がひらける。目の前には、青い海。言葉より先に、景色が入ってくる。


ね、今の風…変わった?
この先、なにかありそう
ゆっくりでいい、という選択
しばらく歩いたところで、足を止める。急ぐ理由はない。景色に合わせて、歩く速さを少し落とす。立ち止まる時間も、旅の一部。海のほうへ視線を向けると、波の動きがゆっくりと続いている。
急がなくていいよ!
こういう時間、すきかも
そのまま、少しだけ時間を置く。気づけば、時間の流れがやわらいでいた。
音と風と、広がる景色
木立がふいに途切れる。その先には、また違う海。遠くにうっすらと浮かぶ島。足元に打ちつける波。ざあん、という音が、体の中までゆっくり響いてくる。ただ見ているだけなのに、なぜか少し満たされていく。ここに来た理由なんて、あとからでいい気がした。


ちょっとびっくりするよね
でも…ずっと聞いていられるよ
たどり着いた、その先に
歩き続けるうちに、少しずつ道が整ってくる。人の気配も増えて、さっきまでの静けさが、少し遠くなる。やがて見えてきた、門脇吊り橋。にぎやかな空気。少しだけ足を止める。そのまま視線を外すと、高台から見下ろす海。遠くに、小さくかかる橋。目指していた場所が、いつの間にか景色の一部になっていた。
行ってみたいけど
ここから見るのも、いいかも
揺れるものと、変わらないもの
風に揺れる草。波に削られた岩。遠くに見える吊り橋。近くで渡ることだけが、この場所のすべてじゃない。少し離れて見ることで、見えてくるものもある。




こわそうだね
でも、ちょっと楽しそう
静けさを持ち帰る
気づけば、ずいぶん歩いていた。それでも、重たい疲れはない。むしろ、少し軽くなったような感覚。来た道を振り返ると、さっきまでいた場所が、少し遠くに見える。同じ時間なのに、少しだけ違う場所にいるような気がする。
(最終話に続く)
今日はここまででいいね
続きは、また今度
セレンのあしあと
AM10:45頃 蓮着寺に到着
AM10:50頃 伊豆海洋公園に到着










